経営改善計画書は何を書く?金融機関との対話に役立つ3つのポイント

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資金繰りが厳しくなってきた。

借入金の返済負担が重い。

業績を立て直したいが、金融機関にどう説明すればよいか分からない。

こうした場面で作成を検討する資料の一つが、経営改善計画書です。

「計画書」と聞くと、金融機関へ提出するための書類という印象を持つかもしれません。

しかし、私はそれだけでは少しもったいないと思っています。

経営改善計画書は、本来、

自社が今どこにいて、何が問題で、これから何を変え、どのように収益と資金繰りを改善していくのか

を整理するための資料です。

私は金融機関で企業のお客さまと接する一方、中小企業診断士として経営支援にも携わっています。

その経験から感じるのは、良い経営改善計画書ほど、数字だけでなく、

「なぜこうなったのか」

「何を変えるのか」

「その結果、数字がどう変わるのか」

が一つの流れとしてつながっているということです。

この記事では、経営改善計画を考えるときに特に重要だと考えている3つのポイントを整理します。

※本記事は一般的な経営改善計画の考え方を解説するものです。融資、返済条件変更、金融支援等の可否は、金融機関や制度、企業の状況によって異なります。

そもそも、経営改善計画書は何のために作るのか

経営改善計画書には、

  • 現在の経営状況
  • 業績悪化の原因
  • 今後の改善策
  • 数値計画
  • 資金繰り
  • 借入金の返済計画
  • 実行スケジュール

などを整理します。

中小企業庁の「経営改善計画策定支援」でも、

現状分析 → 課題の明確化 → 対応策 → 今後の計画・アクションプラン → 金融支援

という流れが重視されています。

つまり、単に将来の売上・利益をExcelで作るだけではありません。

大切なのは、

現状と改善策と数字がつながっていること

です。

ポイント1 最初に「なぜ今の状態になったのか」を整理する

経営改善計画を作るとき、いきなり将来の売上計画から始めたくなることがあります。

例えば、

「来期は売上を10%増やす」

「3年後には黒字化する」

といった目標です。

もちろん将来計画は必要です。

しかし、その前に確認したいのが、

なぜ現在の業績になっているのか

です。

例えば、赤字になっている会社でも原因はさまざまです。

  • 売上そのものが減っている
  • 原材料価格が上昇している
  • 値上げができていない
  • 採算の悪い取引が増えている
  • 人件費や固定費が増えている
  • 過剰な設備投資が負担になっている
  • 一時的な損失が発生している

原因が違えば、改善策も変わります。

売上不足が原因なのに、経費削減だけを続けても限界があります。

逆に、粗利益が十分あるのに固定費が大きすぎるのであれば、売上だけを追いかけても改善しない場合があります。

数字と現場の両方を見る

私は、決算書だけで原因を決めつけない方がよいと考えています。

数字を見ると、

「売上が下がった」「粗利益率が悪化した」

という事実は分かります。

しかし、

「なぜ下がったのか」

は、数字だけでは分からないことがあります。

例えば、売上減少の原因が、

  • 主要顧客の発注減
  • 営業担当者の退職
  • 競合企業の出店
  • 商品力の低下
  • 市場そのものの縮小

のどれなのかで、対応は全く違います。

ここでも大切なのは、

事実と解釈を分けること

です。

業績悪化の原因を最初から決めつけず、数字と現場の情報を組み合わせて整理します。

ポイント2 改善策を「行動」まで落とし込む

経営改善計画でよく見かけるのが、

「売上拡大」「経費削減」「営業力強化」

といった表現です。

方向性としては間違っていません。

ただ、このままでは実行計画としては少し弱いです。

例えば、

営業力を強化する

という方針なら、

  • 既存顧客への訪問頻度を見直す
  • 休眠顧客へ再提案する
  • 採算の高い商品に提案を集中する
  • 見積後のフォロー方法を統一する

など、具体的な行動まで落とします。

さらに、

「誰が」「いつまでに」「何を」「どの程度」

行うのかを決めます。

ここまで決まると、初めて進捗を確認できます。

数値計画と改善策をつなげる

例えば、

「営業活動を強化することで、来期売上を10%増やす」

という計画があったとします。

この場合、

なぜ10%増えるのか。

新規顧客が何社増える想定なのか。

単価はいくらなのか。

既存顧客の取引増加を見込んでいるのか。

まで説明できると、計画の現実性が高まります。

数字だけが先に決まっていて、改善策が後付けになっている計画は、実行段階で行き詰まりやすくなります。

経営改善計画では、

施策 → 行動 → 数字

の順番が見えることが大切です。

ポイント3 返済計画は「利益」だけではなく資金繰りで考える

経営改善計画では、利益計画と同じくらい資金繰りが重要です。

黒字になれば、必ず返済できる。

とは限りません。

例えば、

利益が500万円出ていても、

  • 借入金の元金返済
  • 設備投資
  • 売掛金の増加
  • 在庫の増加
  • 税金の支払い

によって、手元資金が減ることがあります。

そのため、

利益が改善する計画

だけでなく、

返済後も資金が回る計画

になっているかを見る必要があります。

返済可能性を簡単に考える

一つの目安として、

税引後利益+減価償却費

を返済財源の参考として見る方法があります。

例えば、

税引後利益:600万円
減価償却費:300万円

であれば、単純化すると900万円が一つの返済財源の目安になります。

年間の元金返済額が1,200万円なら、

「このままの返済条件で資金繰りは持つのか」

を検討する必要があります。

ただし、実際には売掛金、在庫、設備投資、税金なども影響します。

この計算式だけで判断するのではなく、資金繰り表と合わせて確認します。

金融機関が見ているのは「立派な資料」だけではない

経営改善計画書というと、

「分厚い資料を作らなければならない」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、ページ数が多ければ計画の質が高いとは限りません。

重要なのは、

経営者自身が計画の内容を理解し、自分の言葉で説明できること

です。

例えば、

「売上が伸びる計画になっています」

と言われたときに、

「なぜ伸びるのですか」

と聞かれて説明できるか。

「この改善策をやります」

と言われたときに、

「誰が、いつまでにやるのですか」

と聞かれて答えられるか。

そうした積み重ねが、計画の実行可能性につながります。

計画書の見栄えより、

経営者自身が内容を腹落ちしているか

の方が重要だと私は考えています。

「悪い数字」を隠さない

経営改善計画を作るとき、

「金融機関に良く見せたい」

という気持ちが出ることがあります。

ただ、無理に良く見せた計画は長続きしません。

例えば、

今まで売上が毎年減少しているのに、根拠なく来期だけ大幅増収にする。

原価率が上昇しているのに、理由なく改善する。

こうした計画は、後から説明が難しくなります。

むしろ、

「現状は厳しい」

「ここに問題がある」

ということを認識したうえで、

その問題にどう対応するか

を示す方が、計画としては自然です。

経営改善計画は、会社を良く見せるための資料ではありません。

会社を良くするための資料です。

計画を作った後が本番

経営改善計画で最も重要なのは、作成後です。

中小企業庁の支援制度でも、計画策定だけでなく「伴走支援」が組み込まれています。

計画を作って終わりではなく、

定期的に実績を確認し、

計画との差を見て、

必要なら改善策を修正する。

このサイクルを回します。

例えば、

売上計画100に対して実績90だった場合、

単に、

「10足りなかった」

で終わらせません。

なぜ未達だったのか。

客数なのか。

単価なのか。

受注率なのか。

営業活動量なのか。

を確認します。

そして翌月の行動を変えます。

計画と実績の差を、次の行動に使うこと。

ここまでやって初めて、経営改善計画が経営の道具になります。

早めに計画を作るという選択肢もある

経営改善計画という言葉には、

「かなり経営が悪くなってから作るもの」

という印象があるかもしれません。

しかし、必ずしもそうではありません。

中小企業庁には、本格的な金融支援を伴う経営改善計画策定支援だけでなく、早い段階で経営課題を整理する「早期経営改善計画策定支援」という制度もあります。

資金繰りが完全に行き詰まってから考えるより、

「少し利益が落ちてきた」

「借入金が増えてきた」

「今後の返済に不安がある」

という段階で、数字を整理しておく方が選択肢を持ちやすくなります。

専門家を使った方がよいケース

経営改善計画は、自社だけで作ることもできます。

一方で、

  • 金融機関との調整が必要
  • 複数の金融機関から借入がある
  • 返済条件の見直しを検討している
  • 財務状況が複雑
  • 自社だけでは原因分析が難しい

といったケースでは、専門家へ相談する選択肢もあります。

中小企業庁の経営改善計画策定支援では、認定経営革新等支援機関による計画策定支援に対し、一定の条件のもとで費用の一部を国が負担する制度があります。

制度内容は改定されることがあるため、利用を検討する場合は最新の公的情報を確認してください。

まとめ

経営改善計画書を作るときに大切なのは、次の3つです。

  1. なぜ現在の状態になったのかを整理する
  2. 改善策を具体的な行動まで落とし込む
  3. 利益だけでなく、返済後の資金繰りまで確認する

そしてもう一つ重要なのは、

作った計画を実行し、定期的に見直すこと

です。

経営改善計画は、

「金融機関から融資を受けるための書類」

だけではありません。

経営者自身が、

「何を変えれば会社が良くなるのか」

を整理するための資料です。

結果として、それが金融機関との共通言語にもなります。

Office LOTUSでは、数字をきれいに見せることよりも、

現状を正しく整理し、

改善策を具体化し、

実際に行動できる計画にすることを大切にしています。

経営改善計画を作る必要があるものの、「どこから整理すればよいか分からない」という場合は、お問い合わせください。


参考情報

・中小企業庁「経営改善計画策定支援」
・中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」
・中小企業庁「収益力改善支援に関する実務指針」

※本記事は経営改善計画に関する一般的な情報を提供するものです。融資、条件変更、金融支援その他の判断は、金融機関・支援制度・企業ごとの状況によって異なります。

この記事を書いた人

Office LOTUS あつみ中小企業診断士事務所
Office LOTUS あつみ中小企業診断士事務所
渥美 友道|中小企業診断士

Office LOTUS あつみ中小企業診断士事務所 代表。金融機関に勤務しながら、副業で中小企業診断士として活動しています。

本業では、営業、経営企画、DX推進などの業務を経験。現在も金融の現場に立ちながら、中小企業の経営改善、財務・資金繰り、事業計画、DX・Web活用などを支援しています。

副業だからこそ、日々の実務で得た感覚や変化を経営支援に持ち込めることを強みとしています。机上の理論だけでなく、現場で使える考え方を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

中小企業診断士 登録番号:425952

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