忙しいのに成果が出ないのはなぜ?経営者・管理職のための時間配分の考え方

重要度・緊急度マトリクスの解説。時間は最大の経営資源であることを伝えるアイキャッチ画像。

「一日中仕事をしているのに、肝心なことが進んでいない」

経営者や管理職の方から、こうした話を聞くことがあります。

メールへの返信、会議、承認、問い合わせ対応、資料の確認。

どれも必要な仕事です。

それでも、一日の終わりに振り返ってみると、

「今日、本当にやりたかった仕事はできただろうか」

と感じることがあります。

私自身、金融機関での仕事に加えて、中小企業診断士として企業支援にも取り組んでいるため、使える時間には限りがあります。

だからこそ意識しているのが、

時間を「余ったら使うもの」ではなく、限られた経営資源として配分すること

です。

この記事では、よく知られている「重要度・緊急度」の考え方を使いながら、経営者や管理職が自分の時間をどう見直せばよいかを整理します。

忙しさと成果は同じではない

予定が埋まっていると、

「今日はよく働いた」

という感覚を持ちやすくなります。

ただ、経営の視点で考えると、

時間を使ったことと、成果につながったことは別です。

例えば、

  • 30分の会議
  • 1時間の資料作成
  • 20分の問い合わせ対応
  • 15分の社内調整

を積み重ねれば、一日は簡単に埋まります。

しかし、それらが自社にとって本当に重要な仕事だったかは、別に考える必要があります。

財務で考えるなら、限られた資金をどこに配分するかを判断します。

時間も同じです。

すべての仕事に同じだけ時間を使うのではなく、

どの仕事に時間を使うと、将来の成果につながりやすいのか

を考えることが重要です。

重要度と緊急度を分けて考える

時間管理でよく使われる考え方に、「重要度」と「緊急度」で仕事を4つに分ける方法があります。

大まかには次のように整理できます。

緊急で、重要な仕事

例えば、

  • 顧客からの重大なクレーム
  • 支払期限が迫った重要案件
  • システムトラブル
  • 急な納期変更

などです。

放置できないため、すぐ対応する必要があります。

ただし、こうした仕事ばかりに追われている状態が続くなら、

「なぜ緊急対応が繰り返し発生しているのか」

まで考えた方がよいでしょう。

仕組みや業務プロセスに原因が隠れていることもあります。

緊急ではないが、重要な仕事

例えば、

  • 経営計画を考える
  • 顧客との関係を深める
  • 人材を育成する
  • 業務を改善する
  • 新しいサービスを検討する
  • 健康管理をする

といった仕事です。

今日やらなくても、すぐに問題になるわけではありません。

だからこそ、後回しになりがちです。

しかし、経営者や管理職にとっては、こうした仕事が数か月後、数年後の成果につながります。

私は、この領域に意識的に時間を確保することが特に重要だと考えています。

緊急だが、重要性が低い仕事

例えば、

  • 出席する必要性が低い会議
  • 慣例だけで続けている報告
  • 自分でなくても対応できる確認作業

などです。

本人にとっては「急ぎ」に見えていても、自分が対応すべき仕事とは限りません。

この領域は、

やめる、減らす、任せる、仕組み化する

という視点で見直しやすい仕事です。

緊急でも重要でもない仕事

目的なく続いている作業や、習慣化しているだけの確認などが該当します。

ただし、休憩や気分転換まで「無駄」と考える必要はありません。

休むことも、長く働き続けるためには必要です。

大切なのは、

自分が意図して時間を使っているのか、それとも何となく時間が流れているのか

を区別することです。

「重要な仕事」が後回しになる理由

緊急ではない重要な仕事には、少し厄介な特徴があります。

それは、

やらなくても今日すぐには困らない

ということです。

例えば、業務マニュアルの作成。

作らなくても、今日の仕事は回るかもしれません。

顧客データの整理。

今月は放置しても、大きな問題にはならないかもしれません。

経営計画の見直し。

明日に回しても、会社が止まるわけではありません。

だからこそ、

「時間ができたらやろう」

となります。

しかし、その「時間ができる日」は意外と来ません。

日々の仕事は新しく発生するからです。

そのため私は、

重要な仕事は、空いた時間にやるのではなく、先に時間を確保する

という考え方を使っています。

私が実践している3つの整理方法

1.「やること」より先に「目的」を確認する

予定を入れる前に、

「これは何のためにやるのか」

を考えます。

例えば、

「資料を作る」

という仕事があったとします。

目的が、

「経営会議で設備投資の判断をしてもらうため」

なら、必要なのは判断に必要な情報です。

資料を30ページ作ることが目的ではありません。

目的を確認すると、

「ここまで細かい資料は必要ないのでは」

と気付くことがあります。

以前の記事でも「目的」と「目標」の違いについて書きましたが、時間管理でも同じです。

目的が曖昧な仕事は、必要以上に時間を使いやすい。

これは実務でよく感じることです。

2.繰り返し業務は、一度立ち止まって疑う

毎週、毎月行っている仕事は、

「昔からこうしているから」

という理由だけで続いていることがあります。

例えば、

  • Excelから別のExcelへの転記
  • 同じ情報を複数システムへ入力
  • 毎月同じ形式の集計
  • 内容がほぼ同じ定例報告

です。

こうした仕事は、

「もっと速くやる方法」

を考える前に、

そもそも、この仕事は必要か

を考えます。

必要なら、その次に、

「自動化できないか」「入力を一度にできないか」「担当を変えられないか」

を考えます。

DXやIT活用の価値は、単に最新のツールを導入することではありません。

人がやらなくてもよい仕事を減らし、人が考える時間を増やすこと

にもあります。

3.重要な仕事を予定表に先に入れる

緊急性の低い仕事は、予定表に入れなければ後回しになりやすくなります。

そこで、

「空いたらやる」

のではなく、

「この時間はこの仕事をする」

と先に決めます。

例えば、

毎週金曜日の午前中に経営数字を確認する。

月初に1時間、今月の重点課題を整理する。

毎週30分、業務改善の時間を取る。

という形です。

時間の長さに正解はありません。

1時間取れなければ、30分でも構いません。

大切なのは、

重要な仕事のための時間を、意図して残しておくこと

です。

DXは「仕事を増やすもの」になっていないか

DXやIT導入についても、時間という視点で考えると分かりやすくなります。

新しいツールを導入したのに、

  • 入力項目が増えた
  • Excelとの二重管理になった
  • 操作を覚える仕事だけ増えた

という状態では、本来の目的から外れています。

新しいシステムを導入するときは、

「何ができるようになるか」

だけではなく、

「どの仕事がなくなるのか」

も確認した方がよいでしょう。

例えば、

月10時間かかっていた集計作業が2時間になったのであれば、8時間の余裕が生まれます。

しかし、その8時間をすべて別の定型業務で埋めてしまえば、組織としての変化は限定的です。

生まれた時間を、

  • 顧客との対話
  • 商品・サービス改善
  • 従業員教育
  • 経営分析

といった、より重要な仕事へ振り向ける。

そこまで考えて初めて、業務改善の効果を経営に生かせます。

一度、1週間の時間を棚卸ししてみる

時間管理を改善したいとき、いきなり新しい手帳術やアプリを導入する必要はありません。

まず1週間だけ、

自分が何に時間を使ったのか

を書き出してみることをおすすめします。

細かく記録しすぎなくても構いません。

例えば、

  • 顧客対応 8時間
  • 会議 6時間
  • 資料作成 5時間
  • メール・社内調整 7時間
  • 経営を考える時間 1時間

程度でも十分です。

数字にすると、

「会議が思ったより多い」「考える時間がほとんどない」

と気付くことがあります。

そこから、

「この会議は30分にできないか」

「この資料は毎回必要なのか」

「この仕事は他の人に任せられないか」

と考えていきます。

時間管理というと、個人の努力の話になりがちです。

しかし、経営者や管理職の場合は、

本人の時間の使い方が、組織の仕事の進め方そのものに影響します。

だからこそ、一度客観的に棚卸しする価値があります。

まとめ

時間管理で大切なのは、予定を隙間なく埋めることではありません。

限られた時間の中で、

何に時間を使わないかを決めること

も重要です。

特に経営者や管理職は、

緊急対応だけで一日を終わらせず、

  • 経営を考える
  • 人を育てる
  • 顧客と話す
  • 業務を改善する
  • 将来の準備をする

ための時間を意識して確保する必要があります。

忙しい日が続いているときこそ、

「仕事をもっと速くこなすにはどうすればよいか」

だけではなく、

「今やっている仕事は、本当に自分が時間を使うべき仕事なのか」

を一度考えてみてください。

Office LOTUSでは、DXや業務改善についても、ツール導入そのものではなく、「経営者や従業員の時間をどう使えるようにするか」という視点を大切にしています。

この記事を書いた人

Office LOTUS あつみ中小企業診断士事務所
Office LOTUS あつみ中小企業診断士事務所
渥美 友道|中小企業診断士

Office LOTUS あつみ中小企業診断士事務所 代表。金融機関に勤務しながら、副業で中小企業診断士として活動しています。

本業では、営業、経営企画、DX推進などの業務を経験。現在も金融の現場に立ちながら、中小企業の経営改善、財務・資金繰り、事業計画、DX・Web活用などを支援しています。

副業だからこそ、日々の実務で得た感覚や変化を経営支援に持ち込めることを強みとしています。机上の理論だけでなく、現場で使える考え方を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

中小企業診断士 登録番号:425952

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