利益とキャッシュの違いとは?現役金融機関職員が教える「黒字倒産」を防ぐ資金繰りの本質

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「今月は過去最高の利益が出た!……はずなのに、なぜか口座の残高が心もとない」

経営者の方からいただくご相談の中で、最も多く、そして最も切実なのがこの悩みです。
実は、

「利益が出ていること」と「手元にお金があること」は、全く別の現象です。

はじめまして、Office LOTUS 代表の渥美です。
私は現役の金融機関職員として金融業務に従事する傍ら、「副業中小企業診断士」として企業の伴走支援を行っています。

これまで数多くの決算書と企業の浮沈を見てきましたが、断言できることがあります。
それは・・
「会社は赤字では潰れないが、キャッシュがなくなれば一瞬で潰れるという冷徹な事実です。

この記事では、金融機関の視点から、利益とキャッシュの決定的な違いと、会社を守り抜くための「お金の管理」の本質を解説します。


結論から言えば、会計上のルールである「発生主義」と、現実の「現金の動き」には、必ずタイムラグ(=時間のズレ)が生じるからです。

例えば、以下の3つのケースを想像してみてください。

  • 売掛金の罠: 商品を納品して売上(利益)は計上されたが、入金は多くの場合2~3ヶ月後。その間の給与や家賃は「現金」で払わなければなりません。
  • 在庫の落とし穴: 現金を払って商品を仕入れても、それは「在庫」という資産に姿を変えただけで、売れるまでは「費用」にならず、利益を減らしません。つまり、「利益は出ているのに現金がない」状態が作られます。
  • 借入金返済の盲点: 金融機関への「元金」返済は、経費になりません。利益計算には関係ありませんが、通帳の現金は確実に減っていきます。

このように、損益計算書(PL)上の数字は、あくまで「一定期間の活動成果」であって、「今使えるお金」を保証するものではないのです。

私が実際に担当した企業の実体験においても、やはり「キャッシュフロー」の構造をしっかり理解し、頭の中でも、机上でも、どちらでもよいので資金繰りを毎月計画立てている企業(経営者)は、財務基盤が安定傾向にありました。

一方、資金繰り表を作成していなかったり、利益ベース、あるいは決算書の数字(づくり)にだけ躍起になって、日々のキャッシュの動きを把握できていないドンブリ勘定の企業は、たいてい外部環境が良く、問題が顕在化していないか、あるいはこれまでの資産を取り崩して商売をしている企業が多かった印象です。(もちろん、全てにあてはまる訳ではありませんので悪しからず。)

会計の世界には、「利益は意見(Opnion)、キャッシュは事実(Fact)」という有名な格言があります。

利益は、在庫の評価方法や減価償却のルールによって、ある程度の「解釈(意見)」を加えることができます。
しかし、現金の残高は誰が見ても動かしようのない「事実」です。

現役の金融機関職員としてあえて踏み込んだ言い方をするならば、
我々金融機関(少なくとも、私)は、「キャッシュフローで返済の現実味を判断」しています。

どれだけ高い志や優れた事業計画があっても、現金が1円足りなければ、仕入先への支払いや従業員への給与支払いは滞ります。金融機関にとって、キャッシュフローこそが企業の「誠実さと生存能力」を物語る、最も信頼できるデータなのです。

恐ろしいのは、売上が急拡大している「成長期」ほど、黒字倒産のリスクが高まるという皮肉です。
以下の3点に心当たりはありませんか?

① 資金繰り表を「予測」のために使っているか?

決算書は「過去の通信簿」ですが、資金繰り表は「未来の予報図」です。半年先までの現金の増減を月単位で可視化できていなければ、経営の舵取りは「目隠し運転」と同じです。

② 入金と支払いの「サイト(期間)」に歪みはないか?

「支払いは早く、回収は遅く」という状態は、成長すればするほど資金不足を招きます。
デジタルツールを導入して請求・回収サイクルを1日でも短縮することは、どんなコスト削減よりも強力な財務改善になります。

③ 在庫を「凍結された現金」として認識しているか?

倉庫に積まれた在庫は、利益を圧迫しないため安心しがちですが、実態は「口座にあるはずの現金が商品に姿を変えて眠っている」状態です。在庫回転率の悪化は、キャッシュフロー悪化の明確なサインです。

あわせて読みたい:財務を盤石にする次のステップ キャッシュの流れを可視化できたら、次はそれを「金融機関が支援したくなる計画」に落とし込む番です。具体的な計画書の作り方はこちらで詳しく解説しています。➡ 融資を味方にする「経営改善計画書」作成のポイント3選


「利益」は会社を成長させるためのガソリンであり、「キャッシュ」は会社を走らせ続けるための血液です。

  1. 利益と現金の動きは、構造的にズレるものだと心得る
  2. 「事実」であるキャッシュフローを経営の軸に置く
  3. 資金繰り表を武器に、数ヶ月先の「血液量」をコントロールする

この本質を理解し、実践することで、不測の事態にも揺るがない強固な経営基盤が築けます。

もし、「利益は出ているのにお金が残らない本当の理由を知りたい」「自社の資金繰りをプロの視点で分析してほしい」とお悩みでしたら、お気軽に Office LOTUS へご相談ください。現役の金融実務と経営診断の知見を融合させ、貴社の「永続する仕組みづくり」を全力でサポートいたします。

いかがでしたでしょうか?
今回は、金融機関との「対話ツール」ともいえる「経営改善計画書」について、その作成のポイントをお伝えしました。
具体的な作成の方法などにも今後触れていきたいと思います。

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